根(歯根)にひびが入ったら抜歯?

歯が痛くて咬めない、咬む力が入らない、歯ぐきが腫れたと言って来院される患者さんがいます。レントゲンを撮ると歯の根っこ(歯根)にたてに亀裂が入っているのが観察されます。これは「歯根破折」と言われているもので、残念ながら破折した部分は治せません。神経をすでに取ってしまった歯は、枯れ木同然になり、水分を失い、長い年月の咬合力に耐えかねてひびが入っていくことがあるのです。
腫れて咬めないほど痛く、レントゲンで診ても根の周りの骨がとけてしまったケースでは、早期に抜歯を行い、骨(歯槽骨)の保存に努めます。
症状がない歯で歯根破折を起こしている場合があります。レントゲンで見ても亀裂は写っていません。しかし、細い亀裂線は存在するので、その亀裂に沿って歯肉がはがれてしまうので深い歯周ポケットを作っています。この場合は、まだ使っていけるので経過を観察していくのが得策でしょう。すぐ抜こうとする歯医者だったらちょっと待った方がいいかもしれません。ただ、ブリッジなどを考えていく場合は、支えの歯にはできませんので残念ながら抜歯も考慮しなくてはいけません。当院でも歯根破折を起こしているものの何年も経過を見ている患者さんがおられます。わざわざ勇み足で抜く必要もない症例も実際あるのです。
何回も再治療を繰り返している歯は、もろくなってしまうので歯根破折を来たしやすくなります。再治療がないように、患者さんには歯ブラシをがんばってもらいたいですね。