歯周病の最大のリスク因子はタバコといえます。タバコが健康に悪いことを知らない人はいないでしょうが、多くの人はタバコの害を甘く見ています。タバコの煙には数百種類の有害物質が含まれています。毎日タバコを吸う人はタバコを吸わない人にくらべて、喉頭がんが約33倍、肺がんが4.5倍多く発症します。タバコは、心臓病や脳卒中などのほとんどすべての生活習慣病に関係しています。そして、歯周病のリスクは、約4倍も高くなるのです。
喫煙の歯周病絵の影響は、過去に吸ったタバコの本数が多ければ多いほど大きくなります。喫煙本数や喫煙年数と歯周組織の破壊の程度との間に相関関係があることがわかっています。治療をしても喫煙習慣が残っているままだと、ほぼ半分の効果しかありません。禁煙なしに歯周病の治療をするのは、まさにザルで水をすくうようなものだす。たとえ外科治療をしてもヘビースモーカーであればまったくの無駄になります。時間もお金もです。
歯ブラシをじょうずにやっていても、ヘビースモーカーの場合には、歯肉の奥の方で歯周病が進行していきます。表面的な腫れがあまり出ない特徴があります。これは、タバコの毒で生体が本来持っている腫れるという防御反応が抑制されてしまうためだと言われています。歯周病の人が禁煙を始めると、しばらくして炎症がわかりやすくなり、歯ぐきから出血するなど一見悪くなったように感じることがあります。
タバコを吸っていると、毛細血管の血流が悪くなり、歯周組織の細胞の傷を治す働きが弱くなります。タバコは、からだの抵抗力を弱めるだけではありません。細菌の毒性を高め、体を守る働きや、自己修復する働きを狂わせてしまうのです。浅い歯周ポケットでも病原性の高い細菌が繁殖しやすくなります。
タバコは、毛細血管の循環障害、免疫系への影響、歯周組織の細胞への影響、そして細菌への影響と多種多様な経路でマイナスの影響を与えていると考えられています。
結論 歯周病を治したいと心から思うのであれば、つらいでしょうがタバコはやめてください。
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歯を抜くことは、歯の死を意味します.誰だって歯を抜きたくはありません。応急処置でない限り、歯を抜くかどうかはそれに続く処置によって決まります。
確かにひどい炎症をそのままにはできませんから、体への害を考えて抜歯すべき時はあります。しかし、抜歯に続く治療計画があやふやなときに、とりあえず歯を抜いてしまうというのは困ります。
■ 抜く抜かないは、何を根拠に判断するのか?
重度の歯周病になった歯でも、両側に健康な歯があるときは比較的早く抜歯すべきでしょう。
そのままにしておくと両側周囲の骨に悪い影響が及ぶからです。それに両側に歯があれば、抜歯後ブリッジにすることで対処できるからです。そうすれば取り外しの入れ歯にならないですみます。同じように歯周病になっていても残りの歯の数が少なくなっていたら抜歯は急ぎません。
歯周病でも残せる可能性が残っているなら抜かないで治療すべきです。
逆にインプラントを使った治療計画であれば抜歯の判断は早くなります。インプラントを予定するときは、歯を支える組織がある程度残っていても早めに抜歯してインプラントを植える環境を良くする方がよいと考えるからです。
総入れ歯にするときも抜く判断は比較的早めになります。このように抜いた後どうするのかを考慮して抜歯の計画は立てられます。よく担当医に納得いくまで相談した方がいいと思います。
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