歯科治療と高血圧

今日は、歯科治療と高血圧についてのお話です。
近年、日本が高齢化社会になってしまったため、血圧の高い患者さんが増えてきました。多くの高齢者の方は、医療機関で高血圧を下げる薬を処方されています。血圧が高いにもかかわらず、薬を服用していない患者さんもおられます。
ある程度、血圧が安定してないと特に歯科治療時には血圧が上がりやすいので大変危険なのです。

血圧が高い方は、まず、通常の麻酔薬(キシロカインなどのエピネフリン含有薬)では、麻酔した直後に血圧がドーンと上がってしまうので、シタネストオクタプレシンなどの血管収縮作用の少ない血圧を上げにくい麻酔薬を選択します。それでも生体モニターで測定すると多少あがっているのがわかります。したがって、治療前に血圧を測定しておくことが大変重要なのです。治療前に血圧を測定して、最高血圧が200を超えるようだと、麻酔を使う治療は危険なので行いません。後日、血圧が安定してから行います。
麻酔後、血圧が上がると、患者さんはドキドキすると訴えます。その場合は、血圧の変動をモニターしながら安定した状態になってから治療を始めます。治療は、痛みを極力感じさせないように行うことが大切です。痛み刺激でも交感神経が刺激されて血圧は上がってしまいます。

脳梗塞などの脳血管疾患や狭心症などの心疾患を患われている方なども、血圧を下げる薬(降圧剤)を服用していますので、歯科医にしっかり現在かかっている疾患を教えることは大変重要です。

血圧の高い患者さんは、朝しっかり降圧剤を服用してください。
歯科治療も全身の状態に気配りしながら行う時代になっているのです。