むし歯を放っておくと
むし歯の模式図(C1から進行がはじまりC4まで進みます)
むし歯の進行と痛みの変化
むし歯は、最初はエナメル質だけに穴が開いた状態(C1)です。放置しておくと、歯がしみるようになります。ちょうどC2の状態のときにそのような症状が現れます。それを繰り返しているうちに、歯の中の血管が充血しさらにひどくなると歯が痛みます。これは、虫歯菌のために、歯の中の神経(歯髄)に炎症が起きている状態です。図で言うとC3にあたります。
ごく初期の段階では、軽くたたいてみると痛みを感じます。歯の動揺はなく、エックス線写真でも変化はありません。この時期であれば、痛みを少し我慢すれば、歯髄を生かしたまま、虫歯を治療することができます。
もう少しむし歯を放っておくとかむと痛いという状態になります。歯髄に始まった炎症は、歯の根っこの先まで広がってきています(C4)。 さらにひどくなると、冷たい水だけではなく、お湯にもしみる、かまないときもズキズキと痛いという状態になります。お湯にもしみるようになると、神経(歯髄)を守る事はかなり難しく、根管治療の対象となります。
詰めた所の痛み
詰める治療やかぶせる治療をしたところでも、むし歯と同じ痛みが出ることがあります。むし歯が見えない分、悪くなったことに気づきにくく、悪いところを見つけにくいので面倒です。
レントゲン撮影で詰め物の下にむし歯を見つけることがあります
詰める治療をしたあとに、歯がしみる症状が続くことがあります。これは詰めたものと歯の間に隙間ができていることが原因です。光を当てて固めるプラスチック(レジン)を詰める治療の場合、固まるときにレジンが収縮するので、それが原因で隙間ができてしみたり、短期間痛みが出ることもあります。
詰める前に十分歯に中の神経(歯髄)を保護する処置をし、ゆっくりと治療すれば痛みが出ることはありません。
詰めた所の下にむし歯が再発した時の痛みは、むし歯の上にふたがされている状態ですので普通の虫歯よりも痛みは激しくなります。このように痛みのひどい時には、どこに原因があるか確定診断をつけるのに苦労します。痛む歯も次々に変化するように感じます。かぶせたり詰めたりしている歯がいくつもある患者さんの場合には、患者さんの訴えが激しいと、次々に詰めてあるものを外すことになってしまいます。こういう場合には痛み止めを服用して、しばらく痛みをがまんして、痛みが少し治まってから治療する方が得策です。
あごの骨が腐る事も
歯の中の炎症がひどくなって、神経(歯髄)が死んでしまうと、痛みの原因は歯の根の先に移り、かむと鈍痛を感じます。歯の中から骨の中に細菌が流れ出して、根の先に炎症が拡がるのです。神経を取る治療がじょうずにできていない場合にも、これと同じことが生じます。この根の先の病気がさらに進むと、白血球と細菌からできた膿が根の先に袋状にたまります。
慢性的に鈍痛を感じることが多いようですが、時には激しく痛みます。さらにひどくなると、あごの骨全体が腐ってしまう病気に進展することがまれにありますので注意が必要です。