エナメル質の初期の虫歯への対応は?

エナメル質の初期の虫歯への対応はどうするべきでしょうか?

むし歯は、専門的には「う蝕」と言います。う蝕が存在すれば、そのう蝕(虫歯)は、進行するか、停止するか、回復するかのいずれかになります。歯の表面のエナメル質に限局した初期の齲蝕(虫歯)にフッ化物の塗布(いわゆるフッ素塗布)は有効なのでしょうか。口腔清掃状態の良くない、う蝕ハイリスクの患者239人(9~16歳)を対象に、120人の活動性白斑(初期の虫歯で歯の表面が白く濁り始めているもの)にフッ化物(1.23%リン酸酸性フッ化ナトリウム)を塗布、119人の活動性白斑には塗布しないで、1年後に活動性白斑の数を調べた研究によれば、塗布した120人の集団では、80.0%が非活動性(進行停止)になり、3.5%が虫歯に進行してしまったが、塗布しなかった119人の集団では、35.6%が非活動性になり、10.4%が虫歯に進行してしまったとのことです。この研究は、エナメル質の活動性白斑にフッ素塗布を行うと虫歯の進行を抑制することを示したものです。しかし、進行して穴が開いた状態では絶対に元には戻りませんので、痛みが出る前に治療が必要です。活動性白斑が見つかったとしても、熱心にブラッシングや食事指導に取り組めば、虫歯になりかけた歯は、唾液中のカルシウムを吸着して再石灰化して回復してしまうことも十分あり得るのです。そうなれば、削ったりしないで済みます。

結論:定期的なフッ化物の歯面への塗布はう蝕予防に有効である。

定期的に歯医者さんで、フッ素塗布を行うことは虫歯予防の観点から強く推奨されます。