女性に特有な歯周病

女性の歯周病の特徴についてのお話です。

女性には、女性なりの体質の違いから男性とは異なる女性特有の歯周病が見られます。それには、女性ホルモンや妊娠出産、閉経や更年期が関与しているのです。

1)全般的な注意
2)妊婦の歯周治療
3)骨粗ショー症

1)全般的な注意
エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、月経や妊娠時などには増減を繰り返しています。これらの女性ホルモンは血流を介して歯肉溝へと分泌され、思春期などにおいても歯周病原性細菌の一種であるPrevotella intermediaなどの増殖を引き起こし歯肉に炎症を起こしやすくします。つまり、女性は、生涯を通じ男性に比較して、歯周病にかかりやすい環境を内在させていることになるのです。

2)妊婦の歯周治療
妊娠初期はブラッシング指導を中心に、極力短時間でストレスのない最小限の治療を行い、安定期(妊娠4~5か月)まで待って、スケーリング・ルートプレーニングなどを行います。また、妊娠中は投薬は極力避け、セルフケアーに加えて機械的歯面清掃などのプロフェッショナルケアーを併用します。歯周病により妊娠中の抜歯が必要になった場合は、抜歯などは安定期を待ってしますが、観血的処置はできるだけ出産後に行います。歯周病は、早産・低体重児出産のリスクファクターとなるため、妊婦に対しても適切な歯周治療が必要になります。ただし、妊娠期間中は処置が限られるため、日ごろから口腔衛生管理を徹底しましょう。

3)骨粗ショー症患者(特にBP製剤やRANKL抗体製剤を投与中の患者)
骨粗ショー症は、閉経期以降の女性や高齢者に多くみられます。骨粗ショー症の第一選択薬は、BP製剤です。さらに、抗RANKL抗体製剤はBP製剤とは、異なる機序により骨吸収を抑制し、骨粗ショー症の治療薬として使用され始めました。またBP製剤や抗RANKL抗体製剤は、がん患者にも投与されていることがあります。BP製剤や抗RANKL製剤を投与されている患者が抜歯などの外科的侵襲のある歯科治療を受けた後に顎骨壊死が発生し、これらの薬剤との関連性が示唆されています。処置が必要なときは、主治医に問い合わせ、連携して行うことが大切になります。