歯科の麻酔について

歯科の麻酔について

歯科治療時の麻酔に関していろいろな質問をいただいています。いくつかまとめてみました。お役に立てたら幸いです。

Q1.歯科治療で使用するのは注射の麻酔だけでしょうか
A1.抜歯や神経を取り除く処置や神経の生きている歯を削るときは痛みを感じさせないために局所麻酔薬の注射を行います。局所麻酔以外にも全身麻酔や歯科治療時の不安や緊張、嘔吐などをやわらげるために静脈内沈静法も用いられています。

Q2.麻酔の針をさす時が痛くていやなのですが、どうにかなりますか?
A2.痛みを感じさせない方法はあります。針を刺す部位に表面麻酔という局所麻酔薬の含まれたゼリー状の薬を塗って30秒くらいおいてから針を刺すことです。これで、ほぼ痛みは感じないですみます。担当の先生にしっかり表面麻酔を塗ってもらいましょう。

Q3.治療のときに麻酔をしましたが治療が痛くて、先生に麻酔の効きにくい体質といわれましたが。
A3.患者さんの体質によって局所麻酔の効果が影響を受けることはありません。しかし、まれに効きにくい患者さんがいるのも事実です。麻酔が効きにくい場合、歯や歯肉に強い炎症がある場合、骨が硬く厚く麻酔剤が浸透しにくい部位、下の奥歯、膿がたまっている部位などでは、麻酔の効果が十分得られない場合があります。また、治療中に痛みを繰り返したり、緊張が強い場合など痛みに対して過敏となり、麻酔の効果が得られにくくなることがあります。

Q4.局所麻酔薬にアレルギーがあると言われました。麻酔の注射が心配なんですが。
A4.歯科治療時の麻酔によるアレルギー(アナフィラキシーショック)の発生確率はきわめて低いとされています(それでもゼロではありません)。局所麻酔薬アレルギーと診断されている方は、局所麻酔時の血管迷走神経反射や過換気症候群などが原因で気分が悪くなったものをアレルギーと誤診されていることが多いため、本当の局所麻酔アレルギーであるか正確な診断が必要でしょう。

Q5.口の中を触られるとすぐ吐き気を催します。歯科治療がにがてです。どうにか、なりませんか?
A5.普通の場合でも、人間は喉の奥に物が入ると吐き気を催します(いわゆる嘔吐反射)。この反射が強い方は、その症状が非常に強く出てしまいお口の中を触っただけで、吐きそうになるくらいの反射が出ます。こういう方は、歯科治療を通常通り行うことはかなり困難と言えるでしょう。まず、かかりつけの歯医者の先生に嘔吐反射の程度や必要な治療方針などを相談してみましょう。

Q6.歯科の麻酔には、血圧を上げる成分が含まれていると聞きました。私は、高血圧なのですが大丈夫でしょうか?
A6.日本で使われる局所麻酔薬には、血管収縮薬が添加されていますので、打つと血圧があがります。血管収縮薬が添加される目的は、麻酔効果を強くし、作用時間を延ばすためです。血管収縮薬の添加量は少ないため健康な人には無害です。心臓病や高血圧のある方は、血圧上昇作用の少ない薬が添加された麻酔薬を選択します。必ず、治療前にお知らせください。

Q7.かかりつけの歯科医院では、血圧計をつけて治療します。おおげさすぎませんか。
A7.血圧や脈拍を測りながら治療することを「モニタリング」と言います高血圧や心臓病の患者では、歯科の治療時に血圧や脈拍が大きく変動することがあります。この変動を知り危険な状態に陥るのを防ぐことは、歯科治療を安全に行う上で極めて重要なことなのです。

Q8.内科で血の固まりにくくする薬をもらっています。歯医者さんでの治療は大丈夫でしょうか?
A8.血液が固まりにくくする薬(抗凝固剤、抗血栓剤)を服用している場合でも、適切な止血処置をすることで歯科治療は可能です。自己判断で薬の使用を勝手に中止すると、血液が固まり易くなり、かえって危険です。現在は、薬を中止しないで歯科治療をするのが普通です。歯科治療時の服薬に関しては必ず、歯科医師や主治医にご相談ください。