フッ化ジアンミン銀による虫歯の進行抑制

日本発の最初の歯科用薬剤

フッ化ジアンミン銀38%水溶液(商品名サホライド)は、乳歯の虫歯の進行が抑制されることが明らかになっています。1971年代に歯科医を悩ませた、歯科治療が満足に行えない低年齢児の多発う蝕に対する救世主として、フッ化ジアンミン銀が虫歯の進行止めとして、多くの子供を虫歯の痛みから救ったのでした(私もお世話になりました)。

現在、海外のランダム化比較試験でもその優れたう蝕抑制効果は検証されています。特に経済発展の著しい国では、かつての日本と同じように虫歯が増加しており、その対策としてフッ化ジアンミン銀が注目されているのです。
しかし、フッ化ジアンミン銀には、虫歯を黒くしてしまうという審美上の問題があり、前歯の永久歯への使用は敬遠されます。(まず使いません)

ところが、超高齢化社会を迎えた現在、要介護高齢者が増加し、口腔清掃の不足からお口全体で、根面う蝕が多発することが問題になってきました。このような状況の中で、開発から約半世紀が経過したフッ化ジアンミン銀が根面う蝕の進行止めとして再び注目を浴びているのです。

歯科医院での使用法

小綿球に本剤をしみこませ、虫歯の歯面に3~4分間塗布し、うがいをするだけです。注意点は虫歯の部分が黒変することです。このことは、覚えておきましょう。フッ化ジアンミン銀による処置は、多数歯に及ぶ根面う蝕(虫歯)を応急的に進行を抑制するという点において、有効かつ現実的な方法なんです。