虫歯の神経を残すための新技術

虫歯の神経を残すための新技術・・・歯髄温存療法とは?

保険適用の新技術

●歯髄温存療法とは
虫歯が歯の神経まで達するほど進行した症例では、虫歯菌に感染した部分を徹底して除去していくと、神経を取らなくてはいけなくなる場合があります。このような場合に、虫歯菌に感染した部分を意図的に残し、その部分に専用の薬剤を塗ることで、感染部分を無菌化や再石灰化し、さらに修復象牙質の形成を促進して治癒を図る治療法です。成功すれば神経を取らないですみます。

歯髄温存療法の科学的根拠
①神経の露出を回避できる。
②水酸化カルシウム製剤やタンニン・フッ化物配合カルボキシレートセメントを塗ることで、虫歯の細菌数が減少する。③上記の薬剤の効果で、虫歯の部分が再石灰化して硬くなる。
④上記の薬剤の効果で、3~6か月で修復象牙質の形成が認められる。

●適応症
虫歯の感染した象牙質を徹底的に除去した際に、神経が露出して、神経を取る可能性が高い場合に神経を温存するために行います。下記の要件を満たせば成功率は高くなります。
①神経の状態は、生活反応があり、臨床的に健康または可逆性の歯髄炎であること。自発痛または痛みが出たことがあった場合は適応になりません。
②エックス線写真で、虫歯と歯髄(神経)の間に象牙質が介在しているのが確認できること。
③ラバーダム防湿(または簡易防湿)下で清潔に施術できること。
④術後、しっかり辺縁を封鎖できること。
術直後は、一過性の冷水痛やジーンとした不快感が生じる場合もあります。必要に応じて鎮痛剤を処方致します。強い痛みや咬合痛が出てしまった場合は、残念ながら歯内療法に移行します。

3か月後、問題ないことが確認できたら、最終修復処置へ移行します。