インプラントの寿命について考える・・・一生使うために

よくインプラント治療をやる前に、患者さんから「先生、インプラントってどのくらいもつの?」と訊かれます。

そこで、今回はきわめて客観的なデータをもとに話していきたいと思います。
図1は、日本歯科 補綴学会誌2000より引用したインプラントの残存率の表です。この図から読み取れることは、一度治療したインプラントは10年後に問題なく機能している確率は90パーセント以上であるということです。一度埋入されたインプラントは想像以上に骨と固くくっつき撤去するのも容易ではありません。
最近の新しいデータでは、15年経過後の残存率は、95パーセントとなっています。このように、一度成功してしまえば、長期にわたり安定して問題が起こりにくいことが窺われます。
最近のインプラントの成功率の高さを支えてきたのは、インプラントの表面性状の改良と術式の改善でしょう。現在では、短いインプラントで安全に施術することが可能です。術後の腫れや痛みもほとんどでません。数パーセントの失敗の原因は、力の負担が大きすぎる場合や細菌感染が考えられます。前者の失敗を防止するには、適切な本数や設計が必要ですし、後者には、歯周病の厳密なコントロールが必須となります。たとえば、歯の抜けた原因が歯周病であるならば、インプラント治療前に必ず歯周病を治すことが肝心です。快適ですが費用がかかるインプラント治療です。一生使っていただくためには十分な配慮が必要なのです。

インプラントの生存率